明日の授業ですぐ使える!中学校特別支援学級の英語の授業ネタ 元中学校英語教諭が紹介

私は、7年間英語教諭として公立中学校で勤務しました。小規模校だったので、7年のうち、3年間特別支援学級の英語の授業を担当しました。
英語の授業は、特別支援学級の担任の先生ではなく英語教諭が担当することが多いです。(担任の先生ももちろんサブで入ってくださることが多いので安心)
特別支援学級の授業は教科書がないため、授業のネタ探しが大変でした。また、その年に受け持つ生徒によって能力の差が大きいため、通常学級のように「去年の授業の内容と同じ、またはちょっとアレンジ」というわけにはいかないこともあるので、入学や卒業で生徒の入れ替わりがあったときはネタを考え直していました。
今回は、私が公立中学校で勤務していたときに英語の授業でやっていたネタや、特別支援学級の担任の先生に教えていただいたネタを紹介します。また、1回きりでなく繰り返し使える活動です。これらのネタをうまく組み合わせて授業のパターンをいくつか作れば、1年乗り越えられるかもしれません。

目次

英単語カードなどを無料ですぐダウンロードできるおすすめサイト

・「プリント教材+English」

https://sn1.e-kokoro.ne.jp/english/print/poster_index01.html

・「Bridge to English」

http://bt-english.com/downloads

大きなカードで全員でリピート練習

大きなカード(A4サイズの紙に、絵などをカラー印刷したもの)を先生が見せながら発音し、生徒全員でリピート練習するシンプルな活動です。

<活動の流れ>
①(先生がりんごの絵を見せながら)apple
②(生徒全員で)apple
③次のカードへ。
④ ①~③を繰り返す。

<メリット>
・全員でテンポよく行い、授業のリズムを整えることができます。

<カードの準備>
カードは、A4サイズにカラー印刷して使ってました。私はラミネートなどはせず、カテゴリーごとにクリップでまとめてクリアファイルに入れてました。

(red、blue、yellow、green、pink、orange、black、white、purple、brown、gray、navy blue) 

色の識別が難しい生徒もいるので注意。特別支援学級の担任に事前に確認しておくと良い。
→ワードやペイントで、「図形の挿入」で大きい図形を挿入し、「塗りつぶし」で色を付けてA4サイズでカラー印刷。

数字→ワードでA4用紙いっぱいに大きく数字を入力し、A4で印刷する。

野菜、果物、動物→「プリント教材+English」のホームページからダウンロードしてカラー印刷する。

アルファベット→ワードでA4用紙いっぱいに大きくアルファベットを入力し、A4で印刷する。(または年度末にもらえる補助教材検討用の試供品を使う。)

<応用編>
・慣れてきたら、単にリピート練習をするのではなく、先生が絵を見せながら「これは何だったかな?」と生徒に問いかけてから、発音練習をすると、授業が単調にならなくて良いです。

「なくなったカードは、何?」

黒板にカードを何枚か貼って、英単語の発音練習する。その後生徒が見ていない間に1枚はがし、何のカードがなくなったか生徒に当てさせる活動です。


<活動の流れ>
①黒板にマグネットで、A4サイズに印刷したカードを貼る。4~7枚程度?(動物、野菜、果物、アルファベットなど)
②先生は「あとで1枚だけはがすから、何のカードがあるか覚えておいてね」と生徒に伝える。
③1枚ずつ指をさして、先生の発音に続いて生徒がリピートして練習する。
④生徒に、顔を伏せてもらう。その間に教員は、1枚だけカードを黒板からはがす。
⑤準備ができたら、生徒に顔を上げてもらう。
⑥先生は「1枚だけカードをはがしました。何のカードかな?」と生徒に問いかけて答えさせる。

<準備>
・A4サイズいっぱいに動物、野菜、果物、アルファベットをカラー印刷したものを何枚か用意する。
(「 プリント教材+English 」のホームページからダウンロード。発音練習で使ったカードを活用)

<ワンポイント>
・生徒の実態に合わせて、カードの枚数を調整する。

<メリット>
・英語が苦手な生徒も、活動に参加するハードルが低く取り組みやすい。

・英単語の定着につながる。

キーワードゲーム

先生が英単語(動物、野菜、果物、色など)を言い、生徒はリピートする。手拍子も入れる。事前に指定されたキーワードのときは、真ん中に置いてあるぬいぐるみなどを取る。早く取った人が勝ちのゲームです。

<事前準備>
・机を囲んで、生徒を座らせる。(または床に座る)
・生徒の真ん中にぬいぐるみを置く。
注意点を伝える。「譲り合う。ケンカしない。引っかいたりしない。同じタイミングならジャンケン。」など。
・キーワードを伝える。「今回のキーワードはappleです。先生が「apple」と言ったら、真ん中のぬいぐるみを取ってください。先生が「apple」以外の単語を言ったときは、手拍子をしてリピートしてください。」

<ゲームの流れ>
①先生「banana」
②生徒+先生で、手拍子2回
③生徒「banana」
④生徒+先生で、手拍子2回
⑤ 次の単語を①~④の流れで行う
⑥ ①~⑤を繰り返す。
⑦先生「apple」
⑧生徒 真ん中に置いてあるぬいぐるみを取る。

※英単語は、事前に発音練習したものを使う。(動物、野菜、果物、色など)

<準備>
・ぬいぐるみ(私は100円ショップのダイソーで買いました)

<注意点>
・ぬいぐるみを取り合いしてケンカになるかもしれないので、事前に特別支援学級の担任に相談しておく。生徒に伝えるルール(同じタイミングで取ったならジャンケンにするかなど)も、特別支援学級の担任と相談して事前に決めておく。
・全員で行っても良いし、ペアや小グループに分けるのもあり。
接触アリで至近距離なので、感染症が流行っている時期は避ける。

アルファベット並べ替え

<活動>
ランダムになったアルファベットのカード(A4を8等分くらいのサイズ)を、アルファベット順に机や床などに並べます。

<カードの準備>
「 プリント教材+English 」のホームページからアルファベットのカードをダウンロードをします。(サイズはA4を8等分くらい)
② ①をA4サイズの色紙などに印刷します。(少し硬い紙が良い)
③カードをカットする。(先生がカットしてもいいし、授業の中で生徒に作らせても良い)
④クリップや輪ゴムなどでひとまとめにしておく。

<ワンポイント>
・アルファベットの順を並べる際は、「よーいどん!」で毎時間、タイムを計って記録をしてあげると盛り上がる。(ストップウォッチ)※生徒の特性による(プレッシャーに弱く、パニックになる子もいるので支援級の担任の先生に事前に相談)
・生徒の実態に合わせて、活動のスタイルを変える。1人でやる、2人で協力してやる、みんなで床に並べる(カードはA4サイズで)など。例えば、上級生や軽度の子は1人でやって、下級生は2人以上でやる。
・カードは教員が事前にカットしておいても良いが、授業の中で生徒にカットさせても良い。(特別支援学級の先生に事前に相談しておく)

<メリット>
・生徒が自分の頭で考える活動なので、授業にハリをもたせることができます。
・アルファベット順を覚えていると、ショッピングモールの駐車場のエリアなどの理解がしやすくなるなど、実生活でも役立ちます。

アルファベットビンゴ


<活動>
①生徒にビンゴシートを配布する。
②先生がアルファベットカード(A4サイズくらい)を、ランダムで切って1枚引く。
③生徒に見せる。先生が発音して、生徒にリピートさせる。
④生徒にビンゴシートのアルファベットを鉛筆で消させる。
⑤先生が「リーチになった人?」、「ビンゴになった人?」「2ビンゴになった人?」などと生徒全体に問いかけて、挙手をさせる。
⑥次のアルファベットへ。
⑦ ②~⑥を繰り返す。

※ビンゴになった生徒がいても、続ける。(2ビンゴ以上を目指させる)
 時間があれば、全員1ビンゴになるまでやってあげたい。

<準備>
「 プリント教材+English 」のホームページからビンゴシートをダウンロードする。
※すでにアルファベットが印刷してあるビンゴシート(何パターンか用意してある)ものと、空欄で生徒がアルファベットを記入するためのビンゴシートがあるので、生徒の実態に合わせて用意する。

・先生が見せる用のカードは、ワードでA4サイズいっぱいにアルファベットを印刷する。または年度末の教材採択検討用の試供品を利用。(全体でリピート練習で使ったものをそのまま活用)

身近なアルファベット探し

<活動の流れ>
①お店の看板や企業のロゴマーク身近な場所にあるアルファベットの写真を先生が生徒に見せ、「この写真にあるアルファベット(英語)は何かな?」と全体に向けて問いかけます。
②生徒が「P」など自由に答えます。
③その後、教員がアルファベット(「P」など)を発音し、生徒にリピートさせます。
④次のカードへ行きます
⑤ ①~④を繰り返す。

<メリット>
実生活と結びついてアルファベットの定着の助けになりますし、生徒も楽しんで活動をすることができます。

<カードの準備>
・カードは、A4サイズにカラー印刷して使ってました。私はラミネートなどはせず、カテゴリーごとにクリップでまとめてクリアファイルに入れてました。
googleで「ケンタッキー」などキーワードを入れて画像検索をして、その写真をA4で印刷するだけなのですぐ準備できます。

<生徒に見せた身近なアルファベットの写真の一例>
お店の看板、企業のロゴマーク、生徒が好きな人気アイドルグループのロゴマーク、人気番組のロゴマーク、電化製品や薬の商品名が載った写真など。
※生徒の実態による、大文字の方がわかりやすい。

・ケンタッキー(KFC)の看板やチキンが入った容器の画像、SoftBankのロゴマーク、FamilyMartのお店の看板、mister Donutのお店の看板、HBえんぴつ、PokeMon GOのロゴ、Maxvaluのお店の看板、YAHOO!Japanの検索画面、「世界の果てまでイッテQ」のロゴ、マクドナルドのお店の看板やポテトの容器、SONY XPERIA8、TokyoDisneylandのロゴマーク、Y!mobileのロゴマーク、ポケットモンスターのロケット弾の服(Rと入っている)、駐車場のPの看板、TWICEのロゴマーク、地元のテーマパークや施設の英語表記など。

英語の歌


<おすすめの曲(簡単で歌いやすい)>
・Heads Shoulders Knees and Toes(あたま、かた、ひざ、あし) ※周りの安全に十分に注意する。
・ABC Song(きらきら星の歌)
・London Bridge is falling down
・Happy Birthday Song
・We Wish You A Merry Christmas

<おすすめの本>
・成美堂出版「楽しく歌える 英語のうた」 ←CD付きで使いやすい。

<おすすめの動画>
・Heads Shoulders Knees and Toesは、Youtubeでどんどんスピードアップする動画があるのでおすすめです。「Head Shoulders Knees & Toes (Speeding Up) | Nursery Rhyme | Super Simple Songs」というタイトルの動画です。


私は、さらに動画の設定ボタン(歯車マーク)を押して、再生速度を1.5倍にしてました。結構盛り上がりました。(周りの安全に十分に注意する) ※下の画像を参考

go fish(レベル高め)

レベルが高めです。知的障害が軽度の生徒向けです。
3人以上で取り組みます。
私は、在籍生徒が1人(知的障害がほとんどない子)の特別支援学級を担当したときに、生徒+AET+特別支援学級の担任+自分(英語教諭)で取り組みました。養護教諭や支援員さんに協力していただいたこともあります。

ババ抜きみたいな感じです。「Do you have 〇〇(動物の名前など)?」とメンバーに質問して、同じカードが2枚そろったらカードを捨てることができます。カードが早くなくなった人が勝ちです。
詳しい説明は割愛します。「go fish」と検索するとルールなど出てきます。

市販でカードを買うこともできます。インターネットで無料でダウンロードできるものもいくつかあるようです。

クリスマス、ハロウィンネタ(発音練習、カードを裏返して絵合わせ)

※宗教上の問題でNGの生徒もいるので、事前に特別支援学級の担任に相談しておく。

<活動>
・カードで発音練習
・カードを裏返して絵合わせ
・ワードサーチのプリントを配る

<カードの準備>
・インターネットでダウンロードできるものがいくつかあります。「ハロウィン 英語 カード」「クリスマス 英語 カード」「ハロウィン ワードサーチ」「クリスマス ワードサーチ」などと調べると出てきます。
「Bridge to English」のホームページからダウンロードできます。
http://bt-english.com/downloads

特別支援学級の授業を考えるときのポイントは、「実生活と結びつける」


特別支援学級の授業を考えるときのポイントは、「実生活」と結びつけることです。
私は、通常学級では「外国人と英語で会話すること」を目標にペア活動を多く行っていたのですが、特別支援学級ではペア活動はあまりうまくいきませんでした。
特別支援学級の担任の先生に相談したところ、「動物や果物など、実生活と結びつけて彼らがイメージしやすいものにすると授業がやりやすいよ。難しく考えすぎなくて大丈夫だよ。」と教えてくださいました。
その後、実生活と結ぶ付けることを意識し、「動物、野菜、果物、色、アルファベット(大文字)」を英語で覚えることを目標に授業を組み立てると、うまくいくようになりました。
たとえば、野菜・果物は飲食店などで「ストロベリー味」「キャロットジュース」などがあるので、生徒の実生活に結びつけることができ、これらを生徒に覚えてもらうことは非常に有意義だと思います。
また、色を英語で覚えておくと洋服やカバンを購入するときに役立ち、アルファベットはお店の名前、駐車場のP、ショッピングモールの駐車場のエリア表記などを知ることができます。

特別支援学級の担任との打ち合わせが不可欠

生徒と関わる上での注意点を事前に聞いておくことが重要。NG項目を事前にしっかりと押さえておく。(生徒がパニックになってしまい大問題になり、最悪親からクレームにつながることも)
例えば、大きな音が苦手な生徒(授業で流す音楽の音量に注意、AETにも声や拍手の音量に注意してもらうように事前に伝えておく。)、プレッシャーに弱い(制限時間を設けたり、タイムを計ったりすることを避ける。みんなの前で指名して発言させることは避ける。などなどの配慮。)、勝つことに極端にこだわる(ゲームの勝負事は避ける)、色の識別が難しい生徒、見通しが持てないと不安になる生徒や予定の変更が極端に苦手な生徒、生徒同士の相性など。

・どの程度の理解度や知識があるか事前に聞いおくことで、生徒に合った授業を組み立てることができる。

・授業プリントや授業の流れを簡単に書いた紙を、特別支援学級の担任に事前に渡しておくとお互いにやりやすいです。

・給食や掃除、体育の着替えなどの時間を長めに取るために、4時間目や体育の前の授業は通常学級より早く切り上げることもあります。いつも授業を終業チャイム何分前に切り上げているかを特別支援学級の担任に事前に確認しておくと良いです。

授業のはじめに予定を伝え、見通しを持たせる


・通常学級の生徒にも共通することですが、授業のはじめに「今日の授業の流れ」を伝えると良いです。生徒は見通しを持つことができ、授業に集中することができます。
※ただし、特別支援学級に「予定の変更」に極端に弱い生徒も多いので、特別支援学級の担任と事前に相談しておくと良いです。

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この記事を書いた人

愛知教育大学卒業。元公立中学校英語教諭。東海地方在住。
大学卒業後、公立中学校で7年間勤務。小規模校に勤務し校務分掌に追われ、1か月の時間外労働が150時間を超えたことも。7年目の年度末で退職し、翌日から中小企業で勤務。
現在の仕事内容は内勤の事務系で、クレーム対応などは皆無。昼休みが1時間きちんと取れて、6時半までには退勤する日々に感動。

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